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所有者不明土地問題は解決する?
所有者不明土地について
いま、日本国内の所有者不明土地はどれくらいあるか・・・。
2016年時点で約410万haと推計(九州の土地面積368万haを超えてます)されています。2040年には約720万haの上るとされ、これは実に北海道の面積(835万ha)にも届きそうな勢いだとのことです。
(『所有者不明土地の実態把握の状況について』国土交通省 参考資料より)なんで所有者不明のままではダメなのか?
所有者がわからないと、土地の売買契約やその他、活用のための手続ができません。そうなると、土地活用や、災害の復旧工事、再開発ができません。
日本の土地はもったいないことになっているのですね。
事例をみてみると、
・ある土地を公共工事のために取得しようとしたところ、相続登記が長年されていなかったために、相続人が100人や200人を超えており、調査から活用できるまでに、手続きに3年もの月日を要してしまった。とか、
・住宅地に所有者不明土地があって、その土地に崩れかけた未登記建物があるため付近の住民に危険が及びかねないが、解体工事が進まない。とか、
・そのような土地に不法投棄されてしまっている。といったことがあります。
他人事のような話かもしれませんが、知らず知らずのうちに相続しているかもしれない土地で、誰かに迷惑をかけてしまったり危険を及ぼしていたとするなら、それはあまり気持ちのいい話ではありません。
法律により、例えば、公示により利用できるようにするなど対策を講じてはいるようですが、所有者不明であることが前提であれば、その土地が本当に所有者不明なのかどうか、調査しなければならないのです。そもそもなんで所有者が不明になるのか?
それは、所有者が変わるたびに登記をしていないからです。
特に相続が起きたとき、登記をしなくても困らないといった場合、登記簿上は被相続人の名義のままで時が流れてしまうわけです。
その後、次々と相続が起きてしまったら、最初は所有者が一人だったとしても、その法定相続人が複数いれば、その人数で共有で所有するということになります。
その後も順調(?)に相続が起こっていけば・・・。
もう一体何人が所有していることになるやら。
それで、いつか災害などがおこったときに、その土地をなんとかしたい!と思っても、誰にそれを言いに行けばいいのかわからないということになってしまうのです。相続登記の義務化で所有者不明土地問題は解決するか
先般、国会で成立した改正法に「相続登記の義務化」があります。
内容は、
・不動産の相続を知ってから3年以内に正当な理由なく登記しなければ10万円以下の過料を科す。
・名義人の住所氏名等の変更登記は2年以内に正当な理由なくしなければ5万円以下の過料を科す。
・法務局に自分が相続人であると申告すれば、登記義務を果たしたとみなす。
・相続した土地の所有権を一定の条件で国に帰属させることができる。
・遺産分割されずに10年が経過すると、法定割合に応じて自動的に分割する。
など。
ペナルティがある分、所有者不明土地問題が解消されることが期待されているところですが、いかに周知を継続するかにもよりますね。
また、登記の手続や費用についてもハードルを下げる策を考えていただけたら、いいかもしれません。
煩雑なことはなかなか進みませんから。ここはひとつ、国民ファーストで。