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  • 成年後見制度、家族信託、遺言書~いまできることをいまのうちに

    認知症対策として考えられること

    さて皆さん。

     

    たとえば、いま家を買い、車を買い、ネットで月々1,000円くらいの映画見放題の契約をし、電気代が安いと聞いてA社からB社に乗り換え、スマホの契約も変えた。そんな大きなことから小さなことまで、お金があるとかないとかはひとまず置いといて、自分でやろうと思えばできますよね。

     

    でも、認知症を発症していろんなことが理解できなくなってきたことにより、スマホの契約すら自分の意思で変えることができなくなったとき、この先の自分の生活にどんな影響があるのか、どんなことが自分の身に起こるのかといった不安が出てくるのではないかと思います。

     

    そんなときのための認知症対策、どんなものがあるかを知っておきたいものです。

     

    認知症になったら、①成年後見制度

    認知症を発症していろんなことの理解が難しくなってしまったら、成年後見制度を利用することで、自分の代わりにいろんなことを理解して※法律行為をしてくれる「後見人」という人がついてくれます。
    ※法律行為とは、たとえば、物を売ったらその物は他人の物になり、買ったら自分の物になるといった結果(この例では所有権の移転)が生じる行為のことをいいます。法律行為をするためには、そういう結果が生じると理解できること、つまり、意思能力が必要です。法律行為の当事者が意思表示をしたときに、この意思能力がなければその法律行為は無効となります(民法第3条の2)。つまり、認知症になって意思能力が低下してしまうと、これらの行為が無効だと言われてしまう可能性が出てくるんです。
    ただ、普通に生活をしている人が自分を当事者として契約をする場面は、そんなにあるものではないと思います。

    では、そもそもなんで後見人などという人をつけないといけないのでしょうか。

    認知症になった。ただそれだけでは、先にも書いたとおり、後見人の必要性はそれほど高くはありません。身の回りのことを自分でできなくなってきても、家族がいて面倒をみてくれるなど、特段困ることがなければ後見制度は必要ないと思います。
    では、どんなときに必要か。

    よくあるきっかけが、老人ホームに入居しようとするときに「後見人が必要」と言われたり、家族が介護費用を工面しようと、認知症になった本人の持っている株式を売却するために証券会社にいったときに、やはり「後見が必要」と言われる場合が多いです。

    必ず必要という制度ではありませんが、いる場合もあるというところです。でも、一旦始めてしまえば、その症状が緩和されるなどよほどのことがない限り、取り消すことはできません。また、専門家が後見人に就任することになれば、財産を他人が管理することになりますし、たいていは報酬も発生します。一方、家族が後見人に就くことになったとしても、裁判所への定期的な報告書提出が必要だったりして、なかなか厄介なものです。

    とはいえ、認知症になってどうしても後見人を必要とする場面に出遭ったり、家族が多忙で、有償でも誰か専門家に就いてもらいたいと思ったとき、また、身寄りがいない場合には、財産管理と身上監護(生活や治療、介護等に関する法律行為)を行ってくれる後見人の存在は心強いかもしれません。

    成年後見制度には法定後見と任意後見があります。法定後見は、認知症になってから家庭裁判所で後見人を選任してもらいます。任意後見は、認知症になる前に、いざとなったら誰に後見人になってほしいかを契約で決めておけるものです。自分で任意後見契約を結ぶのですから、その当時は意思能力が必要です。

    ちなみに、成年後見はそのような物事の判断能力が不十分となってしまったときに利用できる制度ですが、判断能力が不十分とまではいかないけれど・・・といった場合には保佐や補助といった制度もあります。

     

    ②家族信託

    近頃よく耳にするこの言葉、ほかにも「商事信託」「民亊信託」などありますが、ここで語るのは家族信託です。
    ちなみに、「商事信託」は受託者が信託銀行や信託会社など免許を受けた者と限定され、運用益を委託者に戻すもので、民亊信託の内容とは別のものです。「民亊信託」は受託者が家族など一般人になります。商売のために信託をするのではないので、免許などは必要ありません。家族信託は、民亊信託のなかでも特に家族を受託者にするものを指します。法律用語ではないですが、わかりやすいですね。

    成年後見との比較

    成年後見は認知症になってからの制度ですが、家族信託は認知症になる前に準備しておくべきことです。契約を締結しなければなりませんので、その時点では意思能力が必要です。
    また、財産を家族に承継させたいとき、遺言や相続は自分が亡くなるときに承継されるので、いつ効果が生じるかわかりませんが、家族信託なら承継時期を自分で決めることができます。
    成年後見では後見人が誰かによって報酬が必要になりますが、家族信託であれば報酬の有無は契約で決めることができます。
    なにより、成年後見では財産の積極的な活用が制限されますが、家族信託では信託した財産を運用して利益を上げることも可能です。

    そんな家族信託ってどんな内容?

    たとえば、
    (ケース1)いまは元気な父だが、周りの家族の状況から考えると、将来は介護施設にお世話になることになりそう。父の預貯金をいつでも介護費用に充てられるよう準備しておきたい。また、介護施設に入居することになったら、父だけが住む自宅を売って入居費用を作りたい。
    (ケース2)自分の会社の経営をそろそろ後継者に任せたいのだが、まだ頼りないのでもう少し育成に時間をかけたいし、もう少し株価が下がってから譲渡したい。
    そんな、将来迫ってくるだろう問題を、いまのうちになんとかしておくことができるのが家族信託契約です。

    (ケース1)では、財産を手放すタイミングで父の意思能力が低下していたら、預貯金の払い出しから自宅の処分、介護施設の契約が困難になってしまうでしょう。家族が介護費用を捻出する必要があります。成年後見制度を利用するとしても、後見人がついて手続が進むまでに時間がかかります。家族信託契約を締結していれば、父の意思能力に関わりなく、預貯金と自宅の処分が可能となります。このように、家族信託は認知症対策としての役割を果たします。
    (ケース2)では、自社株が相続で承継されると、遺言書がない場合は法定相続分または遺産分割協議によって分けることになりますが、相続人の人数によって株式が分散され、会社の経営が立ち行かなくなる可能性があります。後継者にバトンタッチするタイミングで株式も承継させたいとしても、贈与すれば贈与税、売却すれば所得税、また、買う方は購入資金を準備しなければなりません。家族信託契約を締結していれば、株式譲渡のタイミングを株価の低い時期に合わせることができますし、株式をどのように信託するかによって贈与税の対策にもなります。また、議決権を後継者に信託することで、経営の勉強をしながら委託者は指図しつつ教えていくこともできます。分散している株式を集約することも可能です。家族信託は事業承継対策としての役割を果たします。

     

    ③遺言書

    遺言書は、自分が亡くなった後に所有財産についての行先を決めておくことができるものです(※他にも認知や相続人の廃除や取り消し、遺産分割の禁止などなどできます)。

    自筆証書、公正証書などと種類がありますが、いずれにしても効力を発揮するのは亡くなった後のことです。

    ですので、遺言書は認知症対策にはなりません。

     

    が、備えておくことで、亡くなった後の希望を書面にして残しておけるので、その後に認知症になったとしてもその点では安心できます。

    ※遺言信託という言葉がありますが、これは家族信託に遺言書の機能を持たせるもので、認知症対策になります。

    成年後見、家族信託、遺言書

    3つの制度をご紹介しましたが、これらはどれかひとつを選ばなければならないものではなく、組み合わせて活用することで、より希望に沿った備えができると思います。

     

    番外編 エンディングノート

    いま使っているメールサービスやネットのサービスなど、他の家族にはわからないようなサービスもあって、それが放置しておいたら会費がかかってくるものもあるかもしれません。

    そんなときは、たとえばエンディングノートにアカウントやパスワードなどを書いておいて、いざというときに解約してもらうこともできるでしょう。

    行政書士スギモト事務所がサポートします。

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2021-02-23 | Category: メインコンテンツ, 終活